カテゴリー別アーカイブ: 海外

中国ITにおけるUS音楽マーケットへの進出

Taylor Swift is among Universal Music Group’s artists.

8月上旬、テイラースイフト、レディーガガ、ビートルズなどの版権を抑えているuniversal musicの株のうち10%を中国ITのテンセントが取得するというアナウンスをしました。300億ドル=3兆円のうちの10%ですから3000億の投資、テンセントは4550億ドル=45.5兆円の企業価値ですから、彼らにとって0.66%程度の投資になります。

“Together with Tencent, Vivendi hopes to improve the promotion of UMG’s artists, with whom UMG has created the greatest catalogue of recordings and songs ever, as well as identify and promote new talents in new markets,” Vivendi said in a statement. “Vivendi hopes that this new strategic partnership could create value for both Tencent and UMG.”

ユニバーサル側として、過去アーティストのレコーディングカタログや新しいアーティストのプロモートを新しいマーケットにすることを期待していると書いています。

またそれとは別にテンセントミュージックのUS展開についても計画しているようです。

Separately, Tencent is planning to spin off its music arm, Tencent Music, China’s biggest music streaming business, and list it as a separate business in the US.

ちなみに昨年はグローバルの音楽市場で見たときに、過去20年よりも成長率が高く9.7%もマーケットが伸びたようです。

Last year global music revenues grew at their fastest rate in more than two decades. Worldwide, recorded music revenues surged 9.7% to $19.1bn (£14.6bn) in 2018, the fastest rate of growth since at least 1997 when the Oasis album Be Here Now topped the UK albums chart.

USアーティストの中国進出、中国アーティストのUS進出、人口規模を考えた時には当然中国人口の方が多いわけなので、ユニバーサルにとって非常に大きい話だと思います。7月に北京で20代の子たちとカラオケに行ったのですが、日本でいう80-90年代的な歌謡曲バラード的な曲を歌っていた印象があったので、今のUSポップやラップがより中国でのビルボードに乗っていくのでしょうか。中国における英語の利用率は1%以下の1000万人程度ですが、今後増えていくのは間違い無いでしょう。

一方日本の市場に目を向けてみると、2018年は3年ぶりに売上が3000億に戻ったようですが、10年前から比べると2割以上もマーケットは縮小している状況です。

国を代表するレベルのITやコンテンツホルダーが海外マーケットオポテュニティーを相互補完している模様は、当然国レベルで周辺ビジネスにも繋がってきますし、戦略的に非常に興味があります。

ちなみに日本の英語力指数は、中国と台湾に次いで世界で49位となっています。アニメ音楽周辺以外の曲がどうやって世界に行けるのか、国レベルでリーダーが、それが政治家であるべきかそれとも企業であるべきか、真剣に考えて行った方がいいと、改めて思う限りです。

ANTI SOCIAL JAZZ CLUB

新年あけましておめでとうございます!

新年早速ですが、イギリスのリバプールにあるAnti Social Jazz Clubのラジオセットに CruisicのJazz Carnivalが取り上げられました!
いつかリバプールでDJかライブやってみたいです!

Mixcloud

ぜひお聞きくださいませ!

#MuteRKelly の影響

攻撃的なコンテンツや曲に対してSpotifyやApple Musicが配信を止めたりプレイリストから削除するというポリシーを発表しました。

SPOTIFY TO TAKE ACTION ON ‘HATEFUL’ CONTENT AND CONDUCT

その中でも特にR.Kellyついて、#MuteRKellyというムーブメントが起きた影響によるものです。

Streaming services join the movement to mute R Kelly

元々は#metoo運動と関連した Time’s Upというセクシャルハラスメント撲滅運動の中で、R.Kellyの女性に対する肉体的精神的虐待に関する調査を申し立てたことによります。

Mute R. Kelly: The Women of Color of Time’s Up Say It’s Time

R. Kelly during the 2013 BET Awards

性的暴行で告発されているということを考えれば、公式プレイリストから落とされるという処置としておかしくない、とも言えるかもしれません。日本でも同様に最近もありましたが、過去性的暴行で訴えられているアーティストの楽曲は下げられてしまうのでしょうか。何れにせよ、残念な話です。

自分にとってはR.Kellyと言えば、壮大なる希望に満ちたバラード「I Believe I Can Fly」がほぼ全てですが、久しぶりに聞いても、そして他の曲を聞いても、歌い手としての技術は明らかに高いなと改めて思います。

当然高尚なバラードだけを人は作るわけがないし、自分の熱量の矛先として不満や怒りや何かしらの意見を連ねた曲で人の共感を産みたい、という人もいるでしょう。嫌な気持ちになるなら聞かなきゃいいのではないかという話も出そうですが、プレイリストに載っていて意図せずに曲が流れてきてしまう可能性を考えると確かに良くないかと。

彼のことがイヤな人はいるのは確かですが、攻撃的な内容ではない彼の名作も沢山の人が聞けないようになる、そういう悲しいことだけは避けてほしいのですが。そのうちYouTubeからも「I Believe I Can Fly」が削除されるかもしれませんね。

SoundCloudにおける財政救済後の成長

SoundCloud on track for growth after financial rescue

ストリーミングサービスのSoundCloudが、崩壊する直前で170億の財政救済を受け、その後一年以内にファイナンス的にもユーザー数の伸びも含めた目標達成をしたそうです。2017年度売上は目標額の100億円以上を達成。

創設者はキャッシュがなくなる前の数ヶ月で40%のスタッフを解雇し、身売りするか、それともSpotifyやAppleがストリーミングサービス市場で独占する中でお金を積んで生存可能なビジネスモデルを模索するか二者択一を迫られました。

CEOなどが変わったりもしましたが、”YouTube for audio”というプロミネンス、つまりMy Spaceが凋落した後に代わって、アーティストやポッドキャスターの作品をポストするオンラインホームにするという目標を掲げました。Spotify, Apple, Amazonが席巻するサブスクリプションサービスを模倣するのは辞め、前CEOのトレイナー氏はリスナーの行動データやストレージを70-100ドルでアーティストやポッドキャスターに販売し始めました。これについてSoundCloudにとっては2つのベネフィットがあります。一つはアーティストがサービスに対して支払いすること、そしてコンテンツをプラットフォームにポストしてくれることです。実際Spotifyや他のストリーミングサービスは40億のソングライブラリーがあるのに対して、SoundCloudはマッシュアップやDJ mixなども含めた177億ものトラックが置かれています。

トレイナー氏はこう語っています。

“There was a period, for literally over a decade, when no one was sure anyone would pay for music ever again,” he says. “It’s exciting to be able to forget that now.”

実際にこの10年、以前のように音楽に対してお金を払うようになるか誰もわからないといった状況であった。そのことを今忘れることが出来るのはとてもエキサイティングだ。

 

SoundCloudはミュージシャンやレーベルに対してマーケティングデータ販売という、そもそものユーザーが音楽に対して払っていた財布ではなく、別の財布からお金を取る仕組みを作りました。戦うマーケットとターゲットを変更する戦略です。多くの音楽リスナーがレコードやCDからフィジカルからサブスクリプションやストリーミングに対しての課金に移行する事象とは全く別の話です。

実際SoundCloudからそのアーティスト向けデータを購入したことがないことと、そのデータを活用してユーザーニーズに合う楽曲を作ったことがないため、その70-100ドルの投資が価値あるものか分かりません。大きなレコード会社の音楽プロデューサーでマスマーケティングを考える人にとっては相当安いものでしょう。仮に売れる曲の傾向もしくはunmet needsがアイディアとして導き出せたとして、自分自身ユーザーニーズに合う曲を作る気と作れる気があまりしないので活用しきれませんが、そのデータ内容については興味があります。一度買ってみようかな。

 

2018年の音楽産業における7つの予測

7 Music Business Predictions For 2018

この記事では7つの音楽産業における予測について記載しています。下記内容は意図的に全部訳していないのと、英訳のアレは目を瞑ってください。

1. Spotify finally goes public, and the going gets tougher.

Spotifyが最終的に一般公開となるが、進捗は難しい。

メジャーレーベルから楽曲を落とせと言われたり、競合が増えてきたり、利用が大きく進まなかったりと、前年からの成長率で考えると厳しくなる。

2. Amazon grows the music streaming pie.

Amazonがストリーミングサービスでシェアを大きくする。

Amazon Music Unlimitedがメジャーなストリーミング配信サービスになっていくだろう。伴ってフィジカルプロダクトやマーチャンダイズも増えることから、スーパースターアーティストからのパートナーやスポンサーシップにおいても有利になる。

3. Google gets its music streaming act together.

Googleがストリーミングサービスを開始する。

GoogleがGoogle Play MusicとYouTube Redを統合する。これによって、メジャーレーベルが受け取る収益に関する抗議についても減っていく。

4. Streaming networks up their game.

ストリーミングネットワークのクオリティが上がる。

Apple Musicがマンスリーの値段を上げずに全てをハイレゾ配信をスタートする。そして他のプラットフォームもそれに倣ってスタートせざるを得ない。

5. The lack of net neutrality changes our online media consumption.

ネットの中立性の欠如がオンラインメディアの消費を変える。

通信会社やインターネットサービスプロバイダーがネットの中立性に関するルールを年内中盤までに変える。それによってネットの利用消費量が多いサービスは追加費用を請求されることになる。これらによってスタンドアローンのプラットフォームであるSpotify, Tidal, Pandraなどには大きなプレッシャーになるが、Google、Amazon, Appleについてはそこまで大きなコストにならないであろう。その結果ストリーミングサービスの統合が早く進む。

6. Major labels lose the middle class artist.

メジャーレーベルがミドルクラスのアーティストに負ける。

カタログやフィジカルプロダクトからの収益が減ってきた結果、アーティストやマネージャーは最先端のスパースターダムにいない限りメジャーレーベルとサインしない方がいいと気付き始めた。そしてメジャーレーベルもマーケティングインフラをテレビ、ラジオ、紙媒体といった、彼らのターゲットの性年代が無視している衰退媒体がベースとなっていたことにやっと気付き、オンラインにリソースを割くことをはじめる。

7. Vinyl record sales plateau.

レコードのセールスは横ばいになる。

レコードはニッチビジネスとして残るが、その成長率は1桁パーセント台になる。沢山のオーディオサービスがハイレゾなどを始めてきたのに対し、レコードのプレイヤーや周辺機器などにおける十分なオーディオに関するサービスの違いなどを出すのが遅いことについて、若いレコードバイヤーは不満を持っている。そして彼らは早くて簡単なオンラインプラットフォームに戻る。

この記事を読む限り、いかにオンラインジャイアンツによるストリーミングビジネスが主流になっていくか、というのが大きなポイントかと思います。僕個人としては、各サービスがニッチジャンルの深掘りをして、より良いプレイリストが生まれることを願いますが、オンラインジャイアンツの社内は、成長率を維持向上することを中心に考えると思うので、労働効率性の点からニッチの方にそこまで手を回さないと思います。そう考えると、当然ながらマーケティングコミュニケーションやPR、ショーの見せ方などがうまいボーカルグループやバンドやクリエーターをオンラインジャイアンツは気にいるはずなので、彼らが諸々を享受することになるのでしょう。

オンラインストリーミングのディストリビューションの契約が簡単になったとしても、本当に楽曲制作だけを行っていけるアーティストがインターネットによって沢山生まれる、という言説は夢物語であることを改めて感じます。

デジタルミュージックユーザー数の推移

Number of digital music users worldwide from 2016 to 2022

スクリーンショット 2018-01-01 21.15.24.png

The graph illustrates the total number of digital music users worldwide in 2016, and provides a forecast thereof until 2022. The number of music streaming users worldwide is expected to grow from 1.1 billion in 2016 to 1.4 billion in 2022.

全世界で2016年は11億人のストリーミングサービスを利用し、音源ダウンロードはその35%弱にあたる3.7億人が利用していました。そして2022年の予測として、6年間でストリーミング利用ユーザーが30%アップの14億人となり、ダウンロードは横ばいで3.7億人は変わらないという予測が出ています。

自分はBeatport, Traxsourceを中心としてHouse系の音源をダウンロードしてDJの際に利用し、またCDやレコードでJazzやSoul周りを購入して、家や車で聞いたりするといった音楽を聞く環境が中心でした。Spotifyなどは途中で広告がやっぱり入るのが嫌で有料会員になるか考えましたが、amazon prime会員になっているので amazon musicはフリーで利用ができるため、最近はアルバムをダウンロードしたり気になるプレイリストをダウンロードして移動時間の際にJBLのBluetoothイヤホンで聞いています。

自分としては、11億人がストリーミングサービスを世界中の人が利用している、という事実より、デジタルダウンロードユーザーはストリーミングサービスの35%弱という事実の方が意外でした。もはや「音源を買うという行為と音楽を聞くという行為が一致しない」ということが言えます。私は今まで10歳の時からCDを買ってきて以来25年以上続けてきた音楽体験が全く違うことを意味しているので違和感もありますが、一方で四半世紀もすれば人の行動が変わるのは当たり前です。それをちゃんと今認識出来て良かったかと。

一方この市場環境において自分がまだわからないことは、音楽家やアーティストに対してお金を払うわけではなく、ストリーミングサービスにお金を払う行為ということが、ユーザーと音楽家やアーティストとの関係性においてどのような変化が生まれているか、ということです。音源を買うという行為は、直接的に音楽家やアーティストに支払いが発生するため、例えば私であれば、彼らのファンという証やリスペクトに繋がっていると考えられますし、だからしっかり聞こうという姿勢につながります。一方ストリーミングサービスにお金を払う行為は、勿論作品の権利保有者にお金が渡るシステムになっていますが、おそらく上記のような実感は少ないでしょう。事実amazon musicで聞いている感覚はそれに近い。

「この曲やアーティストが好き」という気持ちやその表現の仕方に、おそらく既にズレが生じている可能性が高いと思われます。それらはひょっとしたら、ライブに見に行く、グッズを買って身近に置くといった、過去既にあった行為において比重が高まっているかもしれません。もしくはその好きといった度合い自体そのものに濃淡の違いがあることも想定されます。

SNSをフォローしたり、フォローを外したり簡単に出来ます。それは繋がりやすくなるという考え方よりも、デジタルではユーザーが音楽家やアーティストとの関係性をより容易にシャットダウンすることできるという風に捉えることも重要かもしれません。CDやレコードなどは買ったらものとして残るため関係性とそのものの廃棄に労力が要りますし。上記を鑑みれば、より「薄く広く好きなアーティストがいる」という感覚が主流になる、なっているのでしょうか。